PM濃度と死亡率他

📝PM濃度と死亡率の関連性が明らかに📝

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 世界24ヵ国652都市における粒子状物質(PM)

(粒径10μm以下のPM10および2.5μm以下のPM2.5)の短期曝露が、

1日当たりの全死因、心血管疾患および呼吸器疾患死亡率と独立して関連していることが明らかにされた。

中国・復旦大学のCong Liu氏らが、

天候または気候の死亡への影響を世界的に評価するために設立した

Multi-City Multi-Country(MCC)Collaborative Research Network

による研究結果で、

「今回の結果は、地域・地方の研究で認められた

死亡率とPM濃度との関連性についてのエビデンスを強固にするものである」

とまとめている。

短期間のPM曝露と1日死亡率との関連性を検証した研究は多いが、ほとんどが1都市あるいは1地域から得られたもので、

大気汚染の時系列研究の結果を系統的に評価することは解析モデルの違いや出版バイアスにより困難とされていた。

NEJM誌2019年8月22日号掲載の報告。

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652都市におけるPM曝露と全死因死亡率などとの関連を解析
 研究グループは、

MCCデータベースを用いて24ヵ国652都市の1986~2015年における大気汚染データを収集するとともに、

地方自治体から死亡に関するデータを入手し、PM10およびPM2.5と1日当たりの心血管疾患および呼吸器疾患死亡率との関連について、

ポアソン一般化加法モデルとランダム効果モデルを用いて解析した。

1日当たりPM濃度が10μg/m3増加すると死亡率も上昇PM10の2日移動平均濃度が10μg/m3増加すると、

1日全死因死亡率が0.44%(95%信頼区間[CI]:0.39~0.50)

、心血管疾患死亡率が0.36%(95%CI:0.30~0.43)、

呼吸器疾患死亡率が0.47%(95%CI:0.35~0.58)、いずれも上昇することが確認された。

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PM2.5についても同様に、2日移動平均濃度が10μg/m3増加すると、

1日死亡率はそれぞれ0.68%(95%CI:0.59~0.77)、0.55%(95%CI:0.45~0.66)、0.74%(95%CI:0.53~0.95)上昇した。

 これらの関連性は、ガス状汚染物質で補正後も有意であることが示された。 艶黒ケアサプリ【艶黒美人】

また、年間平均PM濃度が低い地域、ならびに年間平均気温が高い地域で

、関連が強かった。併合した濃度-反応曲線は、PM濃度の増加に伴い1日死亡率が一貫して上昇し、

PM濃度が低いほど勾配が急であった。

 なお著者は、中南米およびアフリカの都市が少ないため今回の結果を全世界の代表として解釈できないことや、

健康データに関する診断またはコーディングエラーは避けられないことなどを研究の限界として挙げている。 

(医学ライター 吉尾 幸恵)
原著論文はこちら

Liu C, et al. N Engl J Med. 2019;381:705-715.

📝大気汚染物質への長期曝露と肺気腫の関連は?/JAMA📝

ケアネット(2019/8/27)
 オゾン(O3)やPM2.5などの大気汚染物質への長期曝露と肺気腫増大の関連が定量的に明らかにされた。

米国・ワシントン大学のMeng Wang氏らが2000~18年にかけて米国内6都市部で行ったコホート研究の結果で、

JAMA誌2019年8月13日号で発表した。

歴史的には、大気汚染物質は心血管および呼吸器疾患と関連することが示されているが、

当代の大気汚染物質への曝露が肺気腫と関連しているかは明らかになっていなかった。

米国6都市で約7,000例を追跡し

肺気腫率の変化を調査
 本検討で研究グループは、O3、PM2.5、窒素酸化物(NOx)、

ブラックカーボンへの曝露と肺気腫率の変化の長期関連を

調べることを目的とした。

肺気腫の評価は、CT画像診断と肺機能検査に基づいた。

 米国6都市(ウィンストン・セーラム、ニューヨーク、

ボルティモアセントポール、シカゴ、ロサンゼルス)

で行われたMulti-Ethnic Study of Atherosclerosis

(MESA)Air and Lung Studiesの被験者を包含して

コホート試験を実施。

対象者は、2000年7月~2002年8月に集められた45~84歳の成人6,814例と、

その後に追加された2005年2月~2007年5月に集められた257例が含まれた。

最終フォローアップは2018年11月。

 コホート特異的モニタリングが組み込まれている

検証された空時間的モデルを用いて、

居住地に特異的な大気汚染物質(O3、PM2.5、NOx、ブラックカーボン)

を算出し、1999年からフォローアップ終了までの間測定した。

 主要評価項目は、肺気腫

(Hounsfield単位-950未満の肺ピクセルパーセンテージで定義)。

被験者は2000~07年に心臓CTスキャン評価を、

2010~18年に同一領域の肺CTスキャンの評価を最高5回受けた。

また、2004~2018年に肺機能検査を最高3回受けた。

肺気腫率、10年間で平均0.58ポイント上昇
 被験者計7,071例(補充時の平均年齢60歳[範囲:45~84]、

男性3,330例[47.1%])において、

5,780例がベースライン調査時~フォローアップ期間中の

大気汚染物質曝露の評価を受け、

少なくとも1回のフォローアップCTスキャンを受けた。

また、2,772例が少なくとも1回の肺機能検査を受けた。

フォローアップ期間の中央値は10年であった。
 肺気腫率中央値はベースラインでは3%であったが、

10年間で平均0.58ポイント上昇した。

 フォローアップ期間中、PM2.5とNOxの平均環境濃度は

一貫して低下したが(O3については認められなかった)、

ベースラインのO3、PM2.5、NOx、ブラックカーボンの環境濃度と、

10年間での肺気腫率上昇との有意な関連が認められた。

O3は0.13/3ppb(95%信頼区間[CI]:0.03~0.24)、

PM2.5は0.11/2μg/m3(95%CI:0.03~0.19)、

NOxは0.06/10ppb(95%CI:0.01~0.12)、

ブラックカーボンは0.10/0.2μg/m3(95%CI:0.01~0.18)であった。

 フォローアップ期間中のO3とNOxの環境濃度は、

肺気腫率上昇と有意に関連した。

PM2.5については認められなかった。

 ベースラインとフォローアップ期間中のO3の環境濃度は、

10年間での1秒量の低下と有意に関連していた。

ベースラインでは13.41mL/3ppb(95%CI:0.7~26.1)、

フォローアップ中は同18.15mL/3ppb(1.59~34.71)であった。 

(ケアネット)
原著論文はこちら

Wang M, et al. JAMA. 2019;322:546-556.

高齢者の大気汚染物質への曝露、基準値以下・短期でも死亡リスク増/JAMA
ケアネット(2018/1/12)
 

微小粒子状物質PM2.5)や暖候期オゾンへの曝露について、

現行の米国環境大気質基準

(National Ambient Air Quality Standards:NAAQS)

よりも低濃度かつ短期間であっても、

死亡リスクの上昇と有意に関連していることが明らかとなった。

米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のQian Di氏らが、

メディケア受給者を対象とした

ケース・クロスオーバー研究の結果を報告した。

米国環境保護局は5年ごとにNAAQSを再検証しているが、

非監視地域や感受性が高い集団における、

現在のNAAQS基準を下回るレベルの大気汚染での

死亡リスクに関するエビデンスは不足していた。

結果を踏まえて著者は、

「現行のNAAQS基準を見直す必要があるだろう」

と提言している。JAMA誌2017年12月26日号掲載の報告。

 

メディケア受給高齢者を対象にケース・クロスオーバー研究を実施
 研究グループは、2000年1月1日~2012年12月31日に

郵便番号数で計3万9,182の地区に居住する全メディケア受給者を対象に、

ケース・クロスオーバーデザインおよび条件付き

ロジスティック回帰分析により、2汚染物質モデルにおいて、

PM2.5とオゾンの短期曝露量(死亡日および死亡前日の1日平均曝露量)

と死亡率との関連を評価した。

PM2.5とオゾンの1日平均曝露量は、

すでに公表され検証済みの大気汚染予測モデルを用いて推定した

1km2あたりの曝露量から、居住地の郵便番号に基づいて算出した。

暖候期オゾンは、毎年4~9月の期間とした。

 主要評価項目は、2000~2012年における

全メディケア受給者の全死因死亡率であった。

PM2.5が10μg/m3、オゾンが10ppb増えるごとに死亡率が上昇
 研究期間中の症例日(死亡)は約2,200万日(2,243万3,862例)、

対照日は約7,600万日(7,614万3,209例)であった。

 全症例日および対照日のうち、

PM2.5が25μg/m3未満であったのは93.6%で、

この期間中に死亡の95.2%(2,135万3,817/2,243万3,862例)が発生した。

また、オゾン濃度が60ppb(ppbは10億分の1)未満であったのは91.1%で、

この期間中に死亡の93.4%(2,095万5,387/2,243万3,862例)

が発生した。ベースライン日の1日死亡率(/100万人)は、

年間では137.33、暖候期では129.44であった。

1日死亡率は、短期のPM2.5曝露量(オゾンで補正)

が10μg/m3増加するごとに1.05%(95%信頼区間[CI]:0.95~1.15)、

暖候期オゾン曝露量(PM2.5で補正)

が10ppb増加するごとに0.51%(95%CI:0.41~0.61)、

いずれも有意に増加した。1日死亡率(/100万人)

の絶対リスク差は、それぞれ1.42(95%CI:1.29~1.56)

および0.66(95%CI:0.53~0.78)であった。

曝露-反応関係における閾値エビデンスは認められなかった。

 なお、著者は、メディケア受給者の大半が65歳以上で、

死因については検討しておらず、実際に死亡した場所は不明であり、

利用したデータは5年近く前のものであるなどの点で、

今回の研究には限界があると述べている。 

(医学ライター 吉尾 幸恵)
原著論文はこちら

Di Q, et al. JAMA. 2017;318:2446-2456