関節リウマチとTNFα⚡️
TNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)とは,サイトカインという物質の一つで腫瘍壊死因子と呼ばれ,
言葉のとおり腫瘍をやっつける物質です.
しかし,
この物質が関節リウマチの関節では
大量に産生され,
腫れや
痛みなどの
炎症や
関節の破壊に
大きく関わっていることがわかっています
関節リウマチの患者さまの関節を調べると,TNFαという物質が通常よりも増えています.
この
TNFαが炎症の主な原因物質といわれています.TNFαは
関節の痛みや
腫れ,
関節破壊をおこすだけでなく,
さらに他の
炎症をおこす物質
(炎症性サイトカインといいます)を作らせて関節リウマチを悪化させるはたらきもあります.
関節リウマチの関節では,TNFαは炎症を引きおこす他のサイトカインを作り出すようシグナル(信号)を発信して,関節の腫れや痛みなどの炎症や関節破壊を促します.また,免疫反応の調節異常にも関与します.
体の中では古い骨を壊す破骨細胞と骨を作り上げていく骨芽細胞とがバランスよく存在することで健康な骨が保たれています.そこにTNFαが多くあらわれると,TNFαは破骨細胞が増えるよう働きかけ,体の中でのバランスがくずれ,骨の破壊だけが進んでしまいます.その結果,関節リウマチでは関節破壊がおこってしまうのです.
過剰なTNFαによる関節破壊メカニズム
このマークをクリックすると,用語解説が別ウインドウで表示されます.
TNFαは細胞の表面にあるレセプターと結合して,シグナルを発信して炎症などを促します.健康な人の体内にもTNFαはありますが炎症反応はみられません.それは,体内で浮遊しているレセプター(可溶性レセプター)があり,これと結合して細胞表面のレセプターと結合できないようにしているからです.しかし,関節リウマチの患者さまの体内では,TNFαが過剰に作られるため,可溶性レセプターの量がTNFαの作られる量には追いつかず, TNFαは細胞表面のレセプターと結合が可能となり,シグナルは発信され,関節の炎症,関節破壊を促進させてしまうのです.
TNF-α【TNF-α】
脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン (生理活性物質) の 1 つで、筋肉、脂肪組織や肝臓での糖の働きを抑制する作用があります。肥満時には増加し、糖尿病や動脈硬化などのリスクを高めます。TNF-α は、Tumor Necrosis Factor-α の略です。