新型コロナウイルスから医療現場を守る

新型コロナウイルスから医療現場を守るために/日本医師会
ケアネット(2020/1/31)
 相次ぐ新型コロナウイルス感染の報告を受け、厚生労働省は、国内でもヒト-ヒト感染が確認されたと発表した。日本医師会は、横倉 義武氏(会長)を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、対応している。

 新型コロナウイルス感染症は、感染症法に基づく「指定感染症」(二類感染症相当)と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令閣議決定され、診療可能な医療機関として、第2種感染症指定医療機関(348施設)、第1種感染症指定医療機関(55施設)、特定感染症指定医療機関(4施設)が指定されている。

 日本医師会・副会長の松原 謙二氏は、「武漢市から14日以内に帰国・入国した人あるいはこれらの人と接触した人で、咳や発熱などの疑わしい症状がある場合には、必ず医療機関を受診する前に、厚生労働省か最寄りの保健所に電話して指示を受けてほしい」と、正しい対応策の周知を呼び掛けた。

厚生労働省 電話相談窓口
 電話番号:03-3595-2285(受付時間:9~21時)

 日本医師会のホームページでは、新型コロナウイルス関連感染症に関する「患者さんへのお願い」として、掲示用の資料をダウンロードすることができる。
・院内入口掲示用:患者さんへのお願い
・院内掲示用:患者さんへのお願い

(ケアネット 堀間 莉穂)
参考文献・参考サイトはこちら

新型コロナウイルス関連感染症 最新情報(日本医師会

新型コロナウイルス感染症に関する情報提供について(同)

新型コロナウイルスに関するQ&A(厚生労働省

第二種感染症指定医療機関の指定状況(平成31年4月1日現在)

感染症指定医療機関の指定状況(平成31年4月1日現在)

 

新型コロナウイルスのゲノムの特徴/Lancet
ケアネット(2020/2/6)
 2019年12月に中国・武漢市で患者が報告され、その後、病原体として同定された新型コロナウイルス(2019-nCoV)について、中国疾病予防管理センターのRoujian Lu氏らがゲノム配列を調べた。その結果、2019-nCoVはSARS-CoVとは異なり、ヒトに感染する新たなβコロナウイルスと考えられた。系統解析では、コウモリがこのウイルスの最初の宿主である可能性が示唆されたが、武漢市の海鮮卸売市場で販売されている動物はヒトでのウイルス出現を促進する中間宿主である可能性が示された。さらに構造解析から、2019-nCoVがヒトのアンジオテンシン変換酵素(ACE)2受容体に結合できる可能性が示唆された。Lancet誌オンライン版2020年1月30日号に掲載。

 著者らは、入院患者9例(うち8例は海鮮卸売市場を訪れた症例)の気管支肺胞洗浄液サンプルと培養分離株の次世代シークエンシングを行った。これらの症例から全体および部分的な2019-nCoVゲノムシークエンスを取得し、2019-nCoVゲノムとほかのコロナウイルスの系統解析を用いてウイルスの進化について同定し、可能性のある起源を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・9例から得られた2019-nCoVの10のゲノム配列は非常に類似し、同一性は99.98%以上だった。
・2018年に中国東部の舟山で収集された2匹のコウモリ由来の重症急性呼吸器症候群SARS)様コロナウイルス(bat-SL-CoVZC45、bat-SL-CoVZXC21)は、2019-nCoV と88%の同一性であった。しかし、SARS-CoV(約79%)およびMERS-CoV(約50%)とは同一性は低かった。
・系統解析により、2019-nCoVはβコロナウイルス属サルべコウイルス亜属に分類され、最も近縁のbat-SL-CoVZC45およびbat-SL-CoVZXC21より比較的長い分岐長を有し、SARS-CoVとは遺伝的に異なることが認められた。
ホモロジーモデリングから、2019-nCoVはキーである残基におけるアミノ酸変化にもかかわらず、受容体結合ドメイン構造がSARS-CoVと似ていることがわかった。

(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら

Lu R, et al. Lancet. 2020 Jan 30. [Epub ahead of print]