認知症予防にはフラボノール摂取を!

食事からのフラボノールの摂取量が多い人では、アルツハイマー認知症を発症するリスクが低かったとする研究結果を米・Rush University Medical CenterのThomas M. Holland氏らがNeurology(2020年1月29日オンライン版)に発表した。

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フラボノールは、さまざまな果物や野菜、茶葉などに含まれているフラボノイド群ファイトケミカルの一種で、抗酸化作用があると考えられている。
全フラボノール高摂取群でリスク48%低下
 Holland氏らは今回、シカゴ市在住の高齢者を対象とする前向きコホート研究Rush Memory and Aging Project(MAP)の参加者のうち、研究登録時に認知症がなかった921例(平均年齢81.2歳、女性75%)を抽出。対象をフラボノールの摂取量で五分位に分け、食事からのフラボノール摂取とアルツハイマー認知症リスクの関連について比較検討した。

 対象には年1回、神経学的な評価と妥当性が確認された食物摂取頻度調査票を用いて食事の評価が実施された。平均6年の追跡期間中に220例がアルツハイマー認知症を発症した。

 Cox比例ハザードモデルを用いて年齢、性、教育、アポリポ蛋白質(apo)E ɛ4、知的活動や身体活動の経験を調整して解析した結果、食事からのフラボノール摂取とアルツハイマー認知症には負の関連が認められた。全てのフラボノール摂取量が最も少ない第1五分位群(平均摂取量約5.3mg/日)に対する最も多い第5五分位群(同15.3mg/日)のアルツハイマー認知症発症のハザード比(HR)は、0.52(95%CI 0.33~0.84)であった。

ケンフェロールが最も有効
 主要なフラボノール4種類(ケンフェロール、ミリセチン、イソラムネチン、ケルセチン)※での検討におけるHRは、ケンフェロールで0.49(95%CI 0.31~0.77)、ミリセチンで0.62(同0.4~0.97)、イソラムネチンで0.62(同0.39~0.98)といずれも有意な関連が示された。一方、ケルセチンとアルツハイマー認知症に有意な関連は認められなかった(同0.69、0.43~1.09)。

 以上を踏まえ、Holland氏は「有望な結果ではあるが、今後さらなる研究で検証する必要がある」とした上で、「果物や野菜、お茶の摂取量を増やすことは、費用がそれほどかからず気軽に取り入れやすいアルツハイマー認知症の予防法の1つとなりうる」と説明。また、「世界的に人口の高齢化が進む中、アルツハイマー認知症患者をわずかでも減らしたり、発症を遅らせたりすることができれば、公衆衛生上の便益はかなり大きい」と指摘している。

※ 豊富に含む食品は、ケンフェロール:ケール、豆類、お茶、ホウレンソウ、ブロッコリーなど、ミリセチン:お茶、赤ワイン、ケール、オレンジ、トマトなど、イソラムネチン:梨、オリーブオイル、赤白ワイン、トマトソースなど、ケルセチン:トマト、ケール、リンゴ、お茶など