緑茶を飲むなら夕方に?

-朝飲むより食後血糖改善効果が大きい可能性

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HealthDay News(2020/4/15)
 お茶を飲むなら、夕方に飲んだ方が良いかもしれない。その方が朝に飲むよりも食後血糖上昇抑制作用が強く現れる可能性を示唆するデータが、「Nutrients」2月21日オンライン版に掲載された。早稲田大学重点領域研究機構の高橋将記氏らが発表した。

 緑茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキンには食後の血糖上昇を抑える作用があり、緑茶の摂取量が多いほど糖尿病発症リスクが低いとの報告もある。一方、近年、食品摂取後の血糖変動は、単に摂取量や栄養バランスだけでなく、食品を摂取するタイミングによっても異なることが注目されている。特に夕方において、インスリン分泌が低下する可能性があり血糖変動への影響が考えられる。高橋氏らはこの点に着目し、カテキン飲料を摂取するタイミングの違いが食後血糖上昇抑制作用に及ぼす影響を、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験で検討した。

 検討の対象は、健康な若年成人38名(平均年齢23.7歳、男性18人)で、糖尿病や脂質異常症患者および習慣的飲酒者、体重変化の顕著な人は除外した。カテキン飲料を朝(5~10時の間)に飲む群と夕方(17~22時の間)に飲む群、およびプラセボ飲料を朝または夕方に飲む群の計4群に分類。カテキン飲料は350mL当たり615mgという豊富なカテキンのほか、カフェイン85mg、炭水化物4gを含み、エネルギー量は18kcal、プラセボ飲料は80mgのカフェインを含み、カテキンや炭水化物は含まずエネルギー量は0kcalに調整されたものを使用した。なお、研究開始前の4群間に年齢やBMI空腹時血糖値、空腹時インスリン値に有意差はなかった。

 血糖変動を評価する食事負荷検査は、カテキン飲料またはプラセボを単回摂取後と、連続7日間摂取後に行った。検査の前日からは飲酒と激しい身体活動を禁止した。また検査用の食事は炭水化物70%、タンパク質と脂質がそれぞれ15%という栄養バランスで統一し、エネルギー量は被験者ごとの推定エネルギー必要量の40%に調整した。このほか、被験者には介入前後の食事所要時間を統一する(20分以内)という条件設定により、カテキン飲料以外の要因による血糖変動への影響をできるだけ取り除いた。

 朝にカテキン飲料(またはプラセボ)を摂取した群は、前日22時以降の絶食後の翌朝に食事負荷検査を実施。その結果、食後180分までの血糖上昇曲線下面積(AUC)の比較から、カテキン飲料群での有意な血糖上昇抑制作用は認められなかった。またインスリン値のAUCも有意差がなかった。

 一方、夕方にカテキン飲料(またはプラセボ)を摂取した群は、4時間の絶食後の夕方に食事負荷検査を実施。その結果、カテキン飲料を摂取した群で血糖値のAUCがプラセボ群に比較し有意に抑制されていた(P=0.001)。またインスリン値のAUCは、有意に増加していた(P=0.013)。

 ヒトを対象とする上記の検討のほか、マウスを使い同様の実験を行ったところ、ほぼ同様の結果が得られた。なお、カテキン飲料を単回摂取した後の結果と連続で摂取した後の結果について比較したところ、マウスでは連続投与の影響が観察されたものの、ヒトでは連続摂取による影響は認められなかった。

 これらの検討を基に、著者らは「夕方にカテキンが豊富な緑茶を飲むことは、食後インスリン分泌を増加させ食後血糖の上昇を抑制する。ヒトの1週間の連続摂取で、血糖値変動とインスリン値に影響は見られなかったが、より中長期的な検証も必要になるだろう」と結論をまとめている。

 なお、カテキンを豊富に含む緑茶が食後血糖上昇を抑制する機序について研究グループでは、カテキンによるインスリン分泌の刺激とともに、インスリン感受性の日内変動との関連について文献的に考察。健常者では夕方にインスリン感受性が低下し、カテキンがそれを抑制する可能性があるとしている。

 このような機能性食品・飲料の摂取タイミングに関するエビデンスの蓄積による「時間栄養学」の今後の進歩と、肥満や糖尿病などの生活習慣病予防への応用が期待される。

[2020年3月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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Takahashi M, et al. Nutrients. 2020 Feb 21 [Epub ahead of print