1型糖尿病の人がCOVID-19について知っておくべきこと HealthDay News(2020/4/27)

 1型糖尿病患者は普段でさえ常に健康上の気苦労が少なくない。それに現在は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の不安が加わっている。

 1型糖尿病患者のCOVID-19感染リスクについて、米JDRF(旧・若年性糖尿病研究財団)のCEOであるAaron Kowalski氏は、「健康な1型糖尿病の人では、HbA1cが適度に保たれていればリスクが高まることはない」との見方を示している。一方で、HbA1cを良好に保てていない人は感染しやすくなる可能性があると指摘している。

 米ニューヨーク大学(NYU)ランゴンヘルス小児糖尿病センター長のMary Pat Gallagher氏は、「HbA1cが9.5%未満であれば免疫不全状態に当たらないが、高血糖が2週間以上続くと免疫能が損なわれることがある」と指摘している。

 COVID-19関連の合併症については、中国とイタリアの初期データからは糖尿病の人ではそのリスクが高まることが示唆されている。ただしこの点についてGallagher氏は、恐らく2型糖尿病やその他の併存疾患を有する高齢糖尿病患者の経過を反映したものとの見方を示し、「小児の場合、(何らかの疾患の有無に関わらず)経過は良好で、重篤な合併症の発症リスクは非常に低い」と付け加えている。

 年齢によらず血糖コントロールが良好であればCOVID-19による合併症リスクが高まることはなさそうだが、1型糖尿病患者が病気に罹患した場合には注意が必要となる。それは、1型糖尿病患者が何らかの病気にかかると、血糖値が大きく乱れることがあるためだ。

 糖尿病患者がインフルエンザなどのウイルス性疾患にかかると、ケトーシスケトアシドーシスDKA)のリスクが高くなることが知られている。したがって、糖尿病の管理により慎重を期すことが重要だ。ウイルス性疾患の治療に用いられる薬剤の中には、血糖値を上昇させる可能性のあるものや、持続血糖測定(CGM)の測定値に影響を与える薬剤があることに留意する必要もある。

 Kowalski氏は「シックデイ(病気にかかったとき)に備え管理計画を立てておくことが重要」とし、Gallagher氏は緊急時に24時間連絡が取れる主治医の連絡先を控えておき、家族が見やすい場所に貼っておくことを勧めている。

 さらにGallagher氏は、もしまだ手元にないのなら、可能な限り早いうちに処方箋を発行してもらうよう助言している。インスリンなどの糖尿病ケア用品についても、手元に余裕があるか確認しておく必要がある。

 感染した場合は、主治医に連絡して具体的な指示を仰ぐようにする。Gallagher氏は、1型糖尿病の人は病気のときも持効型インスリン(基礎インスリン)が必須であることを忘れてはならないと強調。基礎インスリンを減らした方が良いこともあるものの、自己判断で絶対に中止すべきでないと述べている。

 日々の生活における一般的な注意としてKowalski氏は、誰もが行うように手をこまめに洗い、他人との間に一定の距離をあけ、身体活動量を保つよう助言している。Gallagher氏もまた、「社会的距離を保ちながら、毎日できるだけ運動する必要がある。また、ストレスを感じているときは食生活も乱れがちになるため、できるだけ健康的な食事を取るように努めてほしい」と呼び掛けている。

[2020年4月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.