乳製品や卵、肉の摂取
アルツハイマー病を発症すると、
脳内の神経伝達物質である
アセチルコリンの量が減少します。
アセチルコリン合成の原料となる
コリンは乳製品、肉、卵、穀物、
魚などに豊富に含まれ、
脂肪酸にコリンとリン酸が結合した
ホスファチジルコリンは卵や肉に多く
含まれています。
これまでの研究から、
コリンの積極的な摂取が
アルツハイマー病の発症予防に有効とされ、
米国ではそれを期待して
栄養ドリンクにコリンが
配合されたりもしています。
そんな中、東フィンランド大の
ジルキ・ビルタネン博士らの研究チームは、
コリン摂取量がアルツハイマー病の
発症のみならず、健常高齢者の記憶や
言語の流ちょう性といった脳の側頭葉や
前頭葉の機能に関与している可能性に着目。
フィンランド在住の42~60歳の
認知症を発症していない
健常男性2497人を対象に、
コリン摂取量と認知機能、認知症の
発症の有無を平均21.9年にわたって
追跡調査しました。
その結果、調査期間中に
337人が認知症を発症しましたが、
ホスファチジルコリンの
摂取量が多い男性は
少ない男性に比べ、発症リスクが28%
低いことが分かりました。
しかし、コリン全体の摂取量と
認知症発症との関連性は
見いだせませんでした。
また、認知機能との関連性については、
コリン全体の摂取量が多い男性と
ホスファチジルコリン摂取量の多い
男性のいずれも、少ない男性に比べ、
記憶などの側頭葉機能や言語の
流ちょう性などの前頭葉機能が
高いことが分かりました。
コリンは従来、日本ではあまり
注目されてこなかった栄養素ですが、
今後は中高齢期の栄養管理をするうえで、
コリンやホスファチジルコリンの
推奨摂取量を設定する必要があるでしょう。
by白澤卓二先生より❤️