PM2.5とアルツハイマー病

大気中に浮遊するPM2.5

粒子径が2.5マイクロメートル

(マイクロは100万分の1)以下と細かいため、

肺胞の中に入りこみ、呼吸器系疾患や

循環器疾患との関連性が報告されています。

 

硫酸イオン、有機炭素、

硝酸イオン、元素状炭素などのほか、

重金属も含まれていて

アルツハイマー病との関連性を

指摘する論文も複数報告されています。

 

メキシコ・ヴァレ大学のリリアンカルデロン

ガルシアデュエナス博士らの研究チームは、

メキシコシティが世界でも有数の

PM2.5汚染地区である点に注目。

 

PM2.5の暴露とアルツハイマー病の

脳の病理に関連性があることを

明らかにして話題を呼んでいます。

 

研究チームは、2004年から

08年までの4年間に突然死

(解剖した時点で明らかな病気が

肉眼的に確認されなかった症例)した

203人の検視解剖症例を対象に、

PM2.5の生涯暴露量と

アルツハイマー病の病理、

アポE遺伝子型、自殺率との関連性を検討。

 

その結果、30~40歳の検視症例の

24.8%に、アルツハイマー病の

特徴的神経病理所見である

神経原繊維変化を認めています。

 

さらに、この神経病所見の発現率は

PM2.5の生涯暴露量や年齢、

アポE遺伝子型と有意に関連していました。

 

興味深いことに、アポE遺伝子が

4型の症例は、3型の症例より

アルツハイマー病の病理所見が

23.6倍も高い頻度で検出され、

自殺率は4.92倍も高かったのです。

 

若年層の自殺は

うつ病との関連性が報告されてきましたが、

汚染地区に居住している人では、

アルツハイマー病が30代から

進行している可能性や

自殺に関連している可能性が指摘されています。

 

日本でも高齢化が進むなか、

大気汚染とアルツハイマー病発症の

関連性に関して、さらなる研究を推進して

PM2.5や大気汚染の対策をとるべきでしょう。

by白澤卓二先生より❤️👨‍🏫